(※ この記事は2023年5月20日に更新しました。)
1 そもそも「婚前契約書」って何?
婚前契約とは結婚前のカップルが、結婚後の財産や生活上のことについてルールを定め、これを契約として取り交わすことです。
別名「プレナップ(Prenup)」と呼ばれて、欧米諸国では一般的な契約書です。
契約や訴訟が一般的ではない日本においてはまだ馴染みが薄いですが、有名芸能人が婚前契約書を交わしたことを公表していることにより、日本でもじわじわと「婚前契約」が広がりつつあります。
2 「婚前契約」のデメリット
先に婚前契約のデメリットについてお話ししておきましょう。
(1)結婚する前から離婚のことを考えるのなんかおかしいという風潮
何かにつけて契約をすることが当たり前の欧米と違い、日本においては、「そもそも結婚する時にわざわざ契約するの?」
「なんか相手のことを信用していないみたい。」と考える方も多いでしょう。
また、そもそもこれから結婚をして幸せになろうかとしている時に、あえてマイナスな離婚のことを持ち出すなんて不届なという風潮が我が日本には大いに存在しています。
(2)結婚を拒否される可能性も
未だ、日本の風潮としては、「わざわざ契約なんかしなくても、問題が起きた時に話し合えばいいじゃないか!」というものが根強く残っています。
なので、婚前契約に対して拒否反応を示す相手の誤解を解くために説明をしても、結局、了承してくれない場合があります。
また、相手の親や友人も、婚前契約を求めるような相手とは結婚しない方がいいのではと助言するかもしれません。
結果、円満な結婚生活を目指して婚前契約を提案したにも関わらず、結婚を拒否されるという事態になる可能性もあるのです。
3 「婚前契約」のメリット
(1)結婚に対するお互いの考え方がよくわかる
婚前契約においては、結婚後の仕事をどうするか、家事の分担をどうするか、育児はどのように行うのかなど、結婚後の生活を具体的にイメージしながら、二人の考えを話し合います。
つまり、事前にお互いの考え方を知り、価値観を擦り合わせていきますので、結婚後に「こんなはずじゃなかった!」と性格の不一致に気づくという事態は避けることができるのです。
(2)円満な結婚が続く
このように事前に意見が食い違った点について、妥協点を見出して、擦り合わせを行なっていますので、後々揉める、喧嘩になる原因を先に潰しておくことになります。
しかも、単に話し合っただけでなくお互いが納得して決めたルールを契約書という法的書面にしておくことで、結婚後も契約内容を都度確認し、契約を守ろうという意識に自ずとなります。
(3)離婚で揉めない
離婚をする場合、夫婦の財産を分配する財産分与や慰謝料、子供の親権、養育費などを決めることになります。
多くの場合、離婚するときには関係が悪化していますので、スムーズで円満な合意が難しくなります。
そうなると、弁護士に依頼する、離婚調停や離婚裁判に至るなど金銭的、時間的なコスト、精神的負担がかかり、双方の間には大きな遺恨が残ります。
ところが、婚前契約であらかじめこれらのテーマについて定めておけば、基本的にはその契約どおりに離婚することになりますので、無駄な労力を使わずに離婚を成立させることができるというわけです。
4 行政書士をやっていて思うこと
確かに、これから幸せになろうかという時に、わざわざ離婚のことを考えたくはないでしょう。
でも、行政書士業として「離婚協議書」を作成する際にいつも思うんです。
「結婚する前から、万が一に備えて先にルールを決めておけば、こんなにいがみ合わなくてもいいのに・・・」って。
沖縄県が離婚率が高いということは、これから結婚しようと思っているあなたも、もちろんご存知のはずです。
シングルマザーがいかに大変かを想像してみてください!
ならば、万が一のときのことを考えて、そして将来の自分の子供らのことを考えて、「婚前契約書」を作成することを私はぜひともオススメしたい!
ぜひとも、一度カップルで当事務所にお越しの上、ご相談ください。