子なし夫婦が今すぐ知るべき相続の真実と対策

「兄弟姉妹に遺留分はない」ということをあなたはご存じでしょうか?
この事実を知っているか、知らないかで、遺される配偶者の人生が大きく変わります。
遺言書なしで起きる深刻な事態
子供のいない夫婦の多くが「配偶者がすべて相続できる」と誤解していますが、これは大きな間違いです。民法では、子供がおらず両親も他界している場合、配偶者と故人の兄弟姉妹が共同で相続人となります。法定相続分は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。
本記事で紹介したBさんのケースでは、夫が遺言書を残さずに62歳で急逝。夫の兄弟3人が法定相続分を主張したため、長年住み慣れた自宅の名義変更ができなくなりました。不動産の相続登記には相続人全員の合意が必要ですが、兄弟の一人が「自宅を売却して現金で分けたい」と主張。遺産分割協議は難航し、Bさんは「いつ追い出されるかわからない」という不安から体調を崩すほど追い詰められました。
遺産総額4,000万円のうち、兄弟姉妹の相続分は1,000万円。Bさんが自宅を守るには、この金額を現金で支払う必要がありました。しかし、預金がちょうど1,000万円だったため、すべて渡せば生活費がなくなってしまいます。さらに、夫名義の口座は凍結され、引き出すこともできません。葬儀費用の支払いにも苦労し、自身のわずかな貯金で生活せざるを得ない状況に陥ったのです。
遺産分割協議が整わない3つの理由
遺産分割協議が難航する主な理由は、感情的対立、経済的事情、そして不動産評価の相違です。兄弟側は「兄が築いた財産だから権利がある」と主張し、Bさんは「夫婦で築いた財産」と反論。兄弟の一人が事業に失敗しており相続金を強く求めたこと、自宅の評価額で意見が分かれたことも協議を複雑にしました。
結果として、Bさんは弁護士に依頼して家庭裁判所の調停を申し立て、1年3ヶ月かけてようやく解決。弁護士費用だけで約100万円がかかり、精神的にも経済的にも大きな負担となりました。遺産分割協議がまとまらない場合、話し合いで数ヶ月から半年、調停で半年から1年、審判では1年から2年以上かかることも珍しくありません。
遺言書があればすべて防げた
Bさんの苦労は、夫が生前に遺言書を書いておけば完全に防ぐことができました。なぜなら、子供のいない夫婦の場合、兄弟姉妹には「遺留分」がないからです。遺留分とは法律で最低限保障された相続分ですが、これは配偶者、子供、父母にのみ認められており、兄弟姉妹にはありません。
つまり、遺言書で「全財産を妻に相続させる」と明記しておけば、兄弟姉妹は法的に一切請求できなくなります。遺言書があれば、兄弟との協議は不要で、すぐに自宅の名義変更が可能。預金もすべて配偶者のものとなり、精神的な苦痛も弁護士費用も発生しません。
確実な遺言書の作り方
遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、確実性を重視するなら公正証書遺言を強くおすすめします。公正証書遺言は公証役場で公証人が作成するため形式不備の心配がなく、原本が公証役場に保管されるため紛失のリスクもありません。費用は財産額に応じて数万円程度で、死後の手続きが最もスムーズに進みます。
遺言書には「遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、妻○○○○に相続させる」と明確に記載します。配偶者の氏名、生年月日を正確に記載し、日付、住所、氏名、押印を忘れずに。不動産がある場合は登記簿のとおり正確に記載することも重要です。
今すぐ始めるべき5つの対策
第一に、夫婦双方が遺言書を作成しましょう。どちらが先に亡くなるかわからないため、両方が準備する必要があります。第二に、不動産、預金、保険、株式など全財産をリストアップ。第三に、生命保険の受取人を配偶者にしておけば、保険金は遺産分割の対象外となり確実に資金を渡せます。
第四に、財産状況が変われば遺言書も見直しが必要です。5年に一度は内容を確認しましょう。第五に、2020年に新設された配偶者居住権を検討。これは配偶者が自宅に住み続ける権利を確保できる制度で、遺言書に記載することで設定可能です。
専門家への相談が最善の選択
遺言書作成は法的効力を持たせるために細心の注意が必要です。行政書士、司法書士、税理士、弁護士など専門家に相談することで、形式不備のリスクを避け、相続税の試算や最適な相続対策の提案を受けられます。初回相談無料の事務所も多いので、まずは気軽に相談してみましょう。
Bさんのケースは決して他人事ではありません。子供のいない夫婦の多くが同じリスクを抱えています。「まだ若いから」「元気だから」と先延ばしにせず、今すぐ行動を始めてください。Bさんの夫も62歳という年齢で突然亡くなりました。明日何が起こるかは誰にもわかりません。
大切な配偶者を守るため、そして残された人が安心して暮らせるために、今すぐ遺言書の作成を検討してください。お近くの公証役場の場所を確認し、専門家に相談予約を入れ、夫婦で財産の洗い出しを行いましょう。あなたの一歩が、大切な人の未来を守ります。あなたの愛する人を守る最大の方法、それが遺言書です。
相続手続き、遺言書の作成・遺言の執行、 相続人・相続財産の調査 、遺産分割協議書の作成 、預貯金・株式・保険等の相続手続き、死後事務サポート(行政機関手続き等)、認知症対策(後見・家族信託等)、終活サポート(エンディングノート等)は、まかせる行政書士事務所 にご相談ください。
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